本当の「絶対音感」とは③

皆様こんばんは!Producing office SOLEIL杉山薫です。
なかなかColumn更新の時間が取れないため
今晩で絶対音感についてのことは書き終えます。

絶対音感についての過去記事はこちらをご覧ください。

本当の「絶対音感」とは①

本当の「絶対音感」とは②

 

鍵盤楽器のメリットとデメリットについて

 

図1をご覧ください。
前回のColumnで書きました、理論上の半音階と
物理的に存在する音の違いを比較したものです。

 

左の図と右の図の1番の違いは、左は階段、右は坂道だと言うことです。
本来は、音と言うのは右の図のように、どんな高さの音も存在するのであり

無印ドとド#の間の高さの音や
無印ドとド#の間の高さでも、更に無印ドに近い方の音

なども存在し、

ピアノの鍵盤では表せない(表していない)高さの音も存在する

 

と言うことなのです。
そしてこうした、ピアノでは表せない全ての高さの音を出せる楽器が、
ヴァイオリンを始めとする弦楽器です。

ですので、ヴァイオリニストはその日のバックバンドのピッチによって
同じ「ミ」の音を出すにも、高めに取ったり、低めに取ったりすることが出来ます。

ただ、私も大学で教職課程を取った中で2年間ヴァイオリンを弾いてはみたものの、
ヴァイオリンで長音階スケールを弾くことの難しさを痛感しました。
ピアノと言う楽器は、音の質にこだわらなければ、赤ちゃんでも、犬や猫でも
音を出すことが出来ます。ですが、弦楽器の場合はそうはいきません。
弦を押さえたポジションによって、どの高さの音でも出せてしまう訳ですから
1番綺麗な音(ピアノで調律している高さの音)が出せるポジションを
瞬時に押さえなければ、普段耳慣れている長音階にならないのです。

ですが、鍵盤楽器が発明されたことにより
誰でも、容易に正しいピッチのスケールが弾けるようになったのです。

ピアノの鍵盤の数は88鍵ですが、88鍵あっても、1番低い鍵盤から
1番高い鍵盤までの幅は120㎝ほどあります。(自宅のピアノの鍵盤を測りました)
もしも、先程の理論上の半音階全ての音に鍵盤を当てはめたらどうなるでしょうか?
あるいは、理論上の半音階全てを120㎝の中に収めようとしたら、どうなるでしょうか?

そうした事情や、現実的なド#とレ♭音の高さを考慮した結果、

本当は違う音なんだけども、ド♯とレ♭は同じ鍵盤で演奏することによって、
ピアノが出せる音の高さの幅を、120㎝で収まる88の鍵盤に収めることによって
得られるメリットの方が多いため、鍵盤楽器は誕生してから世界中の人々に愛されています。

 

ピアノで身につけた絶対音感取得者が聴き分け出来る音は、
ピアノで調律された音の範囲内のみ

 

勿論これは一般論であって、中にはピアノで絶対音感を身に着けて
ピアノで調律している音に当てはまらないピッチでも聴き取れる人はいるかもしれませんが
少なくとも、私においては、私が判断出来る音の範囲は、ピアノの鍵盤にある音のみであると
言うことが、ここ最近、私自身も音楽理論の勉強を進める中で、分かってきました。

そして、少し前から私は自分が信じてきた絶対音感に疑問、不安を感じることがありました。
それは、私が好きで聴いているJ-POPの楽曲のピッチが時々分からなくなる、と言うことでした。

具体的には、ある楽曲のスケールが初見時ではD#Minor scaleだと、疑いもしませんでした。
(余談ですがD#MinorとE♭Minorは異名同音スケールですが、私はD#Minorだと感じたのも
関係があるのかもしれません)

ところが、その楽曲が好きで何度も繰り返し聴いていくうちに、

D#ではなくて、普通のレで、少しピッチ高めに取ってるのかも?

と思うようになり、試しにピアノの鍵盤で弾いて確かめてみたところ、
D#ではなく普通のレだったと言うことが分かったのです。

他のアーティストの曲でも、初見時ではE Majorスケールと疑わなかったものが、
繰り返し聴いていくうちに、E♭Majorスケールだったと分かり、
私は、自分が信じてきた絶対音感のスキルに自信を失くしてしまいました。
私がショックだったのは、初見時にDMinorスケールの曲を、D#Minorスケールだと言うことに
疑いも持たなかったと言う、自分の感覚に、です。

現代の曲では、音楽を表現する手法も多様化して、必ずしもピアノの鍵盤に合う
ピッチで作品を創ることが全てではなくなりました。
また、別途機会があったら触れたいと思いますが、スケールにおいても
私達が一般的に認識している長音階、短音階以外にも世界中には様々なスケールがあり
そうした長短音階以外のスケールも、J-POPやROCKと言った、私達が普段から耳にしている
音楽でも随所で実は使われています。

なお、私がDの音をD#と聴いてしまった理由については、
周囲の関係者にも助言をもらったところ、
オーケストラのコンチェルトを演奏する際、ソリストのヴァイオリニストが
バックのオケのピッチよりも高めに設定することで、ソリストの音を目立たせている
ことと同様のレコーディングの仕方をしていたためではないか、と言うことで落ち着きました。

ここまでお話すれば、もう皆さん気付いていただけたかと思います。

図2

 

ピアノだけで絶対音感のスキルを身に着けた人が聴き取れる音の範囲は、
あくまで図2の点線内で囲った範囲のみなのです。
私の経験で言いますと、「い」と「う」の枠外のピッチの音が、
ド#にもレ♭にも、レにも聴こえてしまう、と言うところです。
悲しいですが、それが現実なので、受け入れざるを得ません。

では、ピアノで絶対音感のスキルを身に着けた人は
全ての高さの音を聴き取れる訳ではないのに、何故世間では
ピアノで調律した高さの音を聴き取れるスキルを絶対音感と呼び、
絶賛されているのでしょうか?

次の記事で最後まとめたいと思います。

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本当の「絶対音感」とは④

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