音楽系の学校へ行くメリットとは①

皆様こんばんは、Producing office SOLEIL杉山薫です。
コラムの更新が久しぶりになってしまい申し訳ございません。
今年ももうすぐ終わりですが、
皆様にとっては今年はどんな一年でしたでしょうか?

私にとって今年は、コンサートや舞台にたくさん行くことが出来た年でした。
自分でチケットを買って観に行ったライブもあれば、
関係者からお誘いをいただき観に行ったものもありましたが、
いずれにしても私自身がまずはユーザーとして音楽業界に貢献した先に、
業績があると考えてきましたので、
来年以降業界で実績を作っていく上での下準備が出来た年になりました。

さて、Columnの題材を何にしようか色々考えましたが、
今日は音楽系の学校に行くことのメリットについてお話したいと思います。
これから受験シーズンにもなってきますので、
何か少しでも参考になれば幸いです。

音楽系で資格が無いと就けない仕事は、音楽教諭のみ

まず最初に、音楽系の学校に行く事と音楽のプロになる事が、
何故イコールではないのかについてお伝えします。
その理由が上記の見出しで、
意外に思われる方もいるかもしれませんが、音楽に関係する仕事で
具体的に資格を持っていないと就けない職業は音楽教諭のみなのです。
(参考URL:日本の音楽に関する資格一覧 Wikipedia)

中学校や高校の音楽の先生の仕事に就くためには、
音楽の教員免許状を取得出来る大学に行って資格を取得した後、
各都道府県の教員採用試験や、私立中学、高校の採用試験に合格しなければ
学校の音楽の先生になることは出来ません。
ですが、教員以外の音楽に関する仕事の大半は、資格が無くても
実績を作る事が出来れば、その道のプロとして生きて行ける仕事ばかりです。

大手ピアノ教室の講師など、実質音楽大学を出ていないと就職が難しい職業は
存在しますが、どうしても音大には行かずにピアノ講師になりたいと
思った場合は、自分でお教室を開業して、
生徒さんを集められるようになれれば良いのです。
現に私の知人でも、音大を出ていなくてもピアノ教室を開業して、
50人以上の生徒さんが集まる人気教室に育て、
音大卒の講師を雇うようになった方もいらっしゃいます。

また、ポピュラー音楽においては、
音楽系の学校には行かずに音楽のプロになった方々が数え切れないほどいます。
中には第一線で長年活躍しているミュージシャンであっても、
楽譜が読めないと答える方も少なくありません。

ですので、将来中学や高校の音楽教諭になりたいと思っている人は、
教員免許を取るために必ず音楽系の学校へ行かなければいけませんが、
それ以外の音楽系の仕事に就きたいと考えている人は、
「必ずしも音楽系の学校を進路に選ぶ必要は無い」
と言うことを、まず始めにお伝えします。

音楽系の学校を出ただけでは音楽のプロにはなれない

では、学校へ行かなくても実力があれば生きていける音楽の世界において、
何故これだけ多くの人が音楽系の学校へ通うのでしょうか。
まずは、音楽で生計を立てることの難しさについて触れたいと思います。

世の中には音楽をしている人の中で、
音楽のプロと、セミプロ、アマチュアの大きく分けて3種類の人たちがいます。
それぞれ

プロ=音楽で生計を立てている人
セミプロ=音楽だけでは生計が立てられないものの、副収入を得ている人
     音楽系学校の卒業証書を持っている人
アマチュア=音楽で利益を作れない人、作る意思が無い人


に分けられます。

プロと言うのは文字通り皆様がイメージされる、プロの音楽家や、
音楽業界での成功者のことを指します。この、プロのカテゴリに入れる人に
学歴は一切関係ありません。そしてもうひとつ重要なことが、

音楽系の学校を卒業しただけでは
この「プロ」カテゴリの中に入ることは出来ない

と言うことです。

教員免許を取得しても、あくまで教員採用試験に受からなければ
学校の音楽の先生にはなれないと同じで、
音楽系の学校を卒業しただけでは、音楽で生計を立てて行くことは
出来ないのです。ましてや、世の中には音楽系の学校を出ていなくても
音楽のプロになりたいと願い、努力をしている人がたくさんいて
音楽系の学校を出た人たちは、卒業後、自分たちの同期は勿論のこと、
他の音楽系学校を同期で卒業した人、その他音楽で身を立てたいと思っている
全ての人と一斉に競争する社会へ飛び出すことになります。

最近の事例でひとつ、参考例をご紹介します。今人気の[ALEXANDROS]が
プロになるまでのエピソードです。

[ALEXANDROS] Wikipedia

私は彼らのエピソードを読んだ時、何故これだけ音楽に対して情熱のある人達が
音楽系の学校に行かなかったのかと、未だに不思議でなりませんが
中には音楽のプロになることを決意していても、音楽系の学校を
進路として選ばない人もいる
と言うことです。
音楽のプロを目指す上では、学校を卒業した人達の中の競争は勿論のこと、
音楽系の学校には行かずにプロを目指す選択をした人達も含めた中での
厳しい競争に勝たなければいけません。

先程の図のピラミッドで、音楽系の学校には行かずにプロを目指す人は
アマチュアカテゴリのピラミッドの1番底辺から
頂点を目指すことになりますが、
アマチュアからセミプロの階層に上がることも、容易なことではありません。

ですが、「セミプロ」の階層はある条件を満たせば、誰でも平等に
セミプロカテゴリの中には入ることが出来ます。

それが、「音楽系学校の卒業証書」です。

音楽系学校の卒業証書があると、プロを目指す上でどう変わるのかも
図にしてみました。


4年制大学でも、専門学校でも、「音楽系学校の卒業証書」を持っていれば、
履歴書に音楽を専門機関で学んだことの証明が出来、周囲も少なくとも
アマチュアと言う目線では見なくなります。

私が考える、音楽系の学校へ行くことのメリットのうちのひとつは
プロ、セミプロ、アマチュアのカテゴリに分類した際、
プロカテゴリに入る保証は得られなくても、
”セミプロカテゴリの保証を手に入れられること”にあります。

勿論学校を出たからと言って、その後音楽を辞めてしまったり、
音楽を学ぶ努力をしなければ、アマチュアカテゴリからセミプロに
上がろうとしている人達にいずれ負けてしまいますが、
それでも肩書として学校卒は生涯残りますし、
本人が一度音楽から離れたとしても、またいつでも好きな時に
セミプロカテゴリに戻れることも、学校へ行き、卒業証書を手にする
十分な価値であると考えます。

もうひとつのメリットについては、
次の記事にて触れたいと思います。

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