皆様こんにちは!
Producing office SOLEIL杉山薫です。
マネジメントについてのColumn2回めです。
解説を続けていきますね。
前回のColumnはこちら
なぜマネジメントは必要なのか ①
演奏は出来て当たり前でしかない
もう1度前回のColumnに掲載した表を見てみましょう。
それぞれの項目の解説をします。
■演奏力
私が演奏力について重要度を低とした理由は、プロを目指す上で
演奏力、歌唱力が無くても容姿さえよければよいと言うことではなく
プロの音楽家を目指しているのなら、
演奏力、歌唱力はプロレベルに達していて当然であり
担当者は演奏、歌唱のハードルはクリアしている前提で
他の項目を見ると言うことです。
表の備考で、スタッフのサポートでいかようにもなると書きましたが
それについては後述します。
■協調性
備考にも書きましたが、これは身内間でどこまで調整出来るかと言うことです。
私は、アーティストが言うワガママは2種類あると考えています。
1 良い仕事をするためのワガママ (要望)
2 自分のしたいことを通すためのワガママ (自己満足)
です。
1は要望、2は自己満足と書きましたが、
私自身は、1の良い仕事をするためのワガママであれば
いくら言っても構わないと考えています。
むしろ多ければ多いほど、そのアーティストは
仕事に対してストイックであると言えます。
アーティストがお客さんに喜んでもらうためにこうしたいと言う
リクエストがあるのなら、その思いを叶えるために全力で応えるのも
スタッフの仕事です。
ですが、2の自己満足ばかりを言う場合はその時点で
ビジネスを無視してしまっているため、遅かれ早かれ契約終了になります。
勿論チームワークで仕事をしなければいけませんが、
あくまで身内間のやり取りはワガママや衝突も必要なため
私は協調性については重要度を「中」としました。
■謙虚さ
協調性は身内間でのコミュニケーションスキルであったのに対し、
こちらはスポンサーとのコミュニケーションスキルです。
どんなに歌が、演奏が上手くても、
マネージャーと共に営業に出かけた時に、
クライアントを怒らせてばかりの新人が成功出来るかどうか
と例えると分かりやすいかもしれません。
どんな夢にも言えますが、あなたが描く夢のスケールが大きいほど
協力者の力が必要になります。スタッフも、ファンもあなたの
夢を叶えたいと言う熱意に対してお金を投資してくれるのです。
口で応援すると言ってくれるだけの人にも勿論感謝は必要ですが、
やはり口だけでなくお金を使ってくれるかと言うことは
評価をする上で重要なポイントです。
身内の場合は多少のワガママを言ってもそれが仕事上必要であれば
許してもらえることもありますが、スポンサーが支援したいと
思わなくなってしまうと、支援が打ち切りになってしまいます。
売れてくると、どうしても自分の力を過信しがちになるのは
仕方ないのですが、だからこそ、謙虚さを持ち続けることが必要です。
■積極性
残念ながら、プロになりたいと言っているのに、積極性が私以下
と言う人も最近はチラホラ見かけます。
これはいわゆる「ゆとり世代」と言われる、受けてきた教育が
世代によって違う影響もありますが、
分からないことがあるのなら質問をするべきですし、
芸能界は厳しい競争世界ですから、積極性が無いと言うことは
他のライバルとの競争に負けてしまうと言うことになります。
ライバルに負けると言うことは、利益が作れなくなると言うことですから、
最終的に会社として、契約終了の判断の理由になることもあるでしょう。
■柔軟性
要はフットワークが軽いかどうかです。
明日、あるいは当日片道2時間の場所へ来てと言われた時に
来れるかどうか。その日がどうしてもNGであれば代案を出せるか。
元々予定が入っていたのなら、その予定をずらしてでも
担当者から言われた要望に応えるために調整出来るか。
自分では好まないと思っていた髪型、メイク、服装であっても
ヘアメイク、スタイリストからあなたにはこれが似合うと言われた時、
あなたが売れるようになるためにはこれが必要だと言われた時に
試しにやってみてから考えようと、受け入れられるか。
勘違いしてしまう人も多いのですが、スタッフと言うのは、
召使いではありません。特に新人アーティストと、業界歴10年のスタッフ
であれば、業界歴10年のスタッフの方がよっぽどその世界について詳しく、
また、ヘアメイクさんでもマネージャーでも、皆、その道のプロなのですから
彼らは「売れたいと言うアーティストの願いを叶えるために必要なこと」
を提案しているのです。例えそれが今のあなたの本意とは違うものであっても
プロがそう言うのならやってみるか、と考えられるかどうか。
更に、マネジメントはアーティストにとっての命である楽曲に対しても
当然口を出します。一生懸命作った作品に対して、Bメロのこの部分を変えよう
とか、このギターフレーズ要らないからカットしよう、と言ったことを
言われた時に、受け入れられるか。
世の中音楽でプロになりたいと願う人が五万といる中で、
プロのミュージシャンになれる人が1000人に1人もいないと言われる理由は
プロのミュージシャンがやるべきことは
あくまで世の中が求める音楽を提供することであり
自己満足の音楽を発信することではない
と言うことに、大半の人が耐えられなくなるからです。
演奏力の項目で、スタッフのサポートでいかようにもなると書いた理由は、
大事なことは、周囲が応援したいと思うか否かで、
演奏力が標準レベルか標準以下であっても、
プロの意見を積極的に受け入れる人であれば、あなた自身の
発想では思いつかないこと、技術的な問題をスタッフがクリアし
チームで良い作品を作ることが出来るからです。
そして、もし演奏力、歌唱力にコンプレックスを感じているのなら
それこそアーティストであれば克服のため努力出来ることなので
現時点での演奏力自体よりも、柔軟性の方を担当者は評価します。
もしも、あなたが全て自分の思い通りになってくれて
自分が指示したことだけをやってくれるスタッフがほしいのなら
あなたが社長になって、従業員を雇えばよいのです。
ですが、ここで言う契約とは、あなたが雇うのではなく、
あなたがやりたいことに対して、会社にスポンサーとしてついてもらい、
あなたが叶えたい夢を、自己資本ではなく会社の資本を使い
ビジネスとして成立するものにすると言うことですから
1人で活動していた時とは違って当然なのです。
そして、この柔軟性が非常に重要であると私が考える理由ですが、
積極性の項目で、最終的に積極性があるかどうかが
プロダクションが契約を継続するかどうかの分かれ目にもなると
言うことを書きましたが、
柔軟性は、アーティスト自身が音楽活動を長く続ける上で大切な項目です。
ひとつのプロダクションで、長く契約を続けられればよいですが、
当然、契約が終了になることも考えられます。
契約を取るだけでもひと苦労だったのに、安定したと思ったのはつかの間で
事務所からおしまいと言われた時に、どこまで次の契約先を探せるかは
アーティストの発想力次第です。
契約先がすぐに見つからなければ、どのように空白期間音楽活動を続け
空白期間をマイナスではなくプラスに変えられるか。
この、空白期間がどんなに長くてもプラスに変えられた人が
芸能人で「返り咲き」をしている人です。
次回掲載のColumnで、マネジメントについてのまとめを
行います。
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なぜマネジメントは必要なのか ③