なぜマネジメントは必要なのか ③

皆様こんにちは!
Producing office SOLEIL杉山薫です。
マネジメントの必要性についてのColumnのまとめです。

前回までのColumnはこちら
なぜマネジメントは必要なのか ①
なぜマネジメントは必要なのか ②

 

ヒットを起こす上で必須な条件とは

先日、こんなことがありました。
ある男性が、以前は女性にモテていたのにここ数年は
全く女性からの視線を感じなくなってしまったと言うことです。

私もこれまで色んな人と出会ってきましたが、
とりわけ男性で、結婚を機に女性からモテなくなったと
自信を失くしている人が多いように感じます。

彼らが言うモテとは、自分は結婚しているのに
女性から告白されたいと言うようなワガママではなく、
単純に女性からの視線を感じなくなってしまったと言うことです。
常識的に考えれば、結婚すると言うこと自体が
恋愛との決別なのですから、それなのに不特定多数の女性から
あの人カッコイイと思われたいと願うこと自体が、ワガママなのですが
この手の男性は、得てして自分がモテなくなった理由が
結婚したことだと思っている人が多いため、こう解説しました。

世の中、どんなに素晴らしい商品であっても、
マーケット層に情報が届かないことには、ヒットが起こることは無い

実は、モテることと、結婚は直接的な関係はありません。
結婚していても、モテる人はモテます。
私の周囲でも、男女問わず既婚者でもモテている人もいます。
そして私の言う「モテる」と言うのは、「人望がある」と言うことです。

結婚を機にモテなくなった、女性からの視線を感じなくなってしまったと
悩む男性達には、ある共通点があります。それは

現在、周囲にそもそも女性が居ない

と言うことです。
気づいていないだけで、実は彼らは独身時代とは違う環境にいるのです。

先程の男性については、物理的に言うと、周囲に居る女性がゼロではありませんが
40代や60代で、彼が視線を感じたいと思う対象ではない、
つまりは異性としての対象外の女性しかいないと言うことです。

冷静になって考えてほしいのですが、
20代30代の女性からモテたいと思う男性が、
50代以上の女性しかいない職場にいて
職場以外で女性との接点が一切無いのに、どうやって20代30代で
なおかつ彼らが好みと思う女性から、視線を感じられますか?
それこそ、道端で逆ナンでもされるしかないと思いませんか?

なので私はその男性に伝えました。

貴方がもしも今の環境でモテていると感じるのなら、
それは女ではなく男から好意を感じていると言うことです、と。

貴方がターゲットと思う、20代30代の綺麗な女性との接点が
物理的に無い環境に居る以上、貴方がどれだけ筋トレしたり
男を磨こうとも、黄色い声援を発してくれる層の女性達の視界に入らない以上
モテると感じる日は永遠に来ないでしょう、と。

私がここで言いたいのは、恋愛論ではなく
こうしたことはタレントマネジメントでまさに言えることで
ヒットとはターゲット層の視界に入らないことには、起こらないものなのです。

人より物で例えた方が分かりやすいかもしれません。
見た目も綺麗で美味しいケーキを作り、商品を多く売りたいと思っているのに
甘い物に興味が無い人にばかり営業をしていたら、売れるでしょうか?

 

話をアーティストに絞りますが、世の中には本当に素晴らしい作品なのに
セールスが結びついていない楽曲が山程あります。それらの作品が
ヒット出来ていない理由は、単純に多くの人の耳に届けられていないからですが、
仮に、巨額の資金を投じて1回CMを流しても、実はそう変わるものでもないのです。

もう何年か前ですが、渋谷のスクランブル交差点で信号を待っていた時、
たまたま、私が知っているアーティストのCMが流れました。
それを見た時、今、スクランブル交差点にいる人で
このアーティストの名前を知っている人は、一体何人いるのだろうかと
思いました。
つまり、マーケット層の視界に入れるとは、物理的にマスメディアを使い
音源や映像を流すことではなく、興味関心を持ってもらうところまで
惹きつけて、初めて成立するものなのです。

音楽やエンタメは第三次産業のため、衣食住と違い
無ければ物理的に人間の生死に影響するものではありません。
そのため無きゃ無いでも生きていけるし、予算のやりくりがキツくなったら
真っ先に削られる対象の商品でありながら、その商品のために
対価を払うと言うのは、たくさんのハードルをクリアして
初めて起こる”動作”なのです。

人は、私も含めてどうしても自分のことを客観的に分析することは難しく
また、例え事実であっても、それを当事者の口から言ってしまうと
逆効果になってしまうこともあります。
先程のモテるモテないの話も、あくまで私が第三者として解説をしたから
説得力があるわけで、本人の口から

「俺、今は周りがおばちゃんしかいないからモテないだけで、
20代女性が多い職場に行けば、
40過ぎで結婚して嫁がいるけど絶対モテる自信あるんだよね」

なんて言ってみてください。
熱でもあるんじゃないかこの人と思われるだけです(笑)

 

マネジメントの理想は、セルフプロデュース

セルフプロデュースと言う言葉も時々耳にします。
私は、マネジメントの理想はセルフプロデュースだと考えていますが
セルフプロデュースをしている人は世の中にたくさんいても、
人件費の関係で人を雇えないため、セルフプロデュースせざるを得ない
と言う人が大半ではないかと思います。

また、スタッフを雇えたり事務所に入れても、今度は
自身のことを本気で売ってくれるスタッフがいないことに悩む
アーティストも多いですが、基本的に、
周囲に依存する人は芸能界で生き残ることは難しいです。
その理由は、アーティストとスタッフが一丸となって
人生を懸けて作品作りやプロモーションをしても、
それが結果に結びつける確率は数える程度の世界なのですから
上手くいかないことを他人のせいにするような人が
成功出来るような世界ではありません。

そのため、あなたがどのように音楽、芸能活動をしたくて
と言うプランを、誰も動いてくれなかったら
最終的には全て自分で作業して営業活動をするくらいの気迫でないといけません。
そうすると自然と、自分の長所短所、セールスポイントも
分かってくるのですが、そうであっても本人では気付けないところや
もうひとつ、セルフプロデュースがどうしても難しい理由が

アーティストがプロデュースに労力を割くようになると
どうしても創作活動に割く時間が減る

と言うことです。アーティストが1番にやるべきことは
よい作品を生み出すことであり、それはプロデューサーや
マネジメントが代行出来ないことです。ですので、取捨選択を
迫られた時に、自身と同等の情熱ではないにしても、
大半のアーティストがマネジメントを外部に委託しています。

前回のColumnでも書きましたが、
演奏が上手いだけではプロにはなれません。
やみくもに営業を続けるよりも、
ピンポイントで自分の弱点と改善項目を知った方が
よっぽど近道なのです。

皆さんプロになりたくて頑張っていることは
事実なのですから、そうした努力が正しい形で
実を結べるよう、私も引き続き仕事に取り組んで参ります。

それでは、またここでお会いしましょう!
皆様良い夏をお迎えください!