楽曲がヒットする理由について①

皆様こんにちは!Producing office SOLEIL杉山薫です。
次のColumnの題材をどうしようかなあと考えているうちに
11月になり、今年も残すところあと2ヶ月を切ってしまいました。
定番のセリフですが、月日が経つのは本当に早いですね。
今年掲げた目標のうち、いくつを達成出来たのか
振り返りの時期になってきました。振り返りと言えば
私もあと数年で人生の折り返しと言われる40歳なので
人生全体の振り返りをしなければいけないタイミングです。

自分の人生を振り返り、どうだったのか。
願いが叶ったこと、叶わなかったこと、色々ありますが
いずれも原因と結果がセットですから、
上手く行ったことも、上手く行かなかったことも理由を分析して
人生の後半戦に生かす時間も作らなければいけません。

ところで、分析と言えば、ここ数年私が行っていることのひとつに
「楽曲アナライズ」があります。
何をやっているかと言いますと、
不定期ですが、私自身、生徒として音楽理論のレッスンに通っています。
レッスンに通い、自分よりも知見のある方からの見解を聞き、
議論し、得た教養を自分の活動に生かしています。

 

音楽は生涯勉強で、終わりはない

「レッスン」と言う言葉の響きの問題かもしれませんが
音大を卒業した人が、卒業後あらためてレッスンに通っていると話すと
結構多くの人に驚かれます。

「音大出たんだから、音楽にプロなのに、どうして生徒として
レッスンに行くの?」

と。

確かに私は、音楽大学を卒業はしましたが
例えば私の母校、東京音大と言う学校ひとつを例にとっても
ピアノ、声楽、弦楽器、管楽器、作曲、指揮、、、と
たくさんの専攻があり、当然、ピアノ専攻で卒業した人が
声楽専攻で卒業した人と同等に歌曲を歌えるかと言ったら、違いますよね。

同じように、私がここ数年レッスンに通い学んでいることは
ポピュラー音楽の音楽理論です。
私が学校で学んだことは、「音楽教育」についてで、
もう少し大きなくくりで言いますと、私が学校で学んだことは
クラシック音楽であって、ポピュラー音楽ではありません。
ポピュラー音楽については、社会に出てから音楽業界の現場で
学んで来ましたが、それだけでは足りないと感じるようになり、
そうした時期に、本当によい先生と出会うことが出来たことをもあり
あらためてポピュラー音楽について勉強するようになりました。

なので、誤解されてしまうことも多いのですが、
音大を出たからと言って全ての音楽について精通するのは
物理的に難しいですし、むしろ学校を卒業してからの方が
勉強しなければいけないことは多いように感じます。

美容師さんやヘアメイクさんも、私の周囲で
第一線で活躍されている人は、必ず定期的に講習会を行い
講師を招き、皆で技術の共有をしていますが
私が今通っているレッスンもそうしたものに近いです。
美容業界も常にトレンドが変化していきますが、音楽業界も同じで
古い知識のままではなく、最新のトレンドを知り
時代から取り残されないようにしなければいけません。

 

題材は自由。現代の音楽を勉強する題材は身近にいくらでもある。

一部抜粋ですが、私がこれまでに実際採譜した譜面をピックアップしました。

左の画像は、坂本冬美さんの夜桜お七と、ドリーミングのアンパンマンのマーチです。
演歌についても一度きちんと向き合う時間を作りたいと思っていたところで
夜桜お七の作曲者である三木たかし先生が、アンパンマンのマーチも
作曲されたことを知り、題材に取り上げました。
余談ですが、こうしてアナライズの題材として取り上げたことにより
アンパンマンのマーチは非常に優れた楽曲であり、優れた楽曲であるからこそ
皆に愛されていると言うことも分かりました。

右の画像は、[ALEXANDROS] のワタリドリ。
この曲を持っていった理由は、単純に私がこの曲が好きだからです。
譜面にすることによって、あらためて川上さんの声域の広さを実感しましたし
エンディングの変拍子も、なんとなく聴いているだけでは聴き流していました。
この、ワタリドリと言う曲は[ALEXANDROS]の楽曲の中でも
知名度、評価が群を抜く代表曲で、この曲が皆から愛されている理由についても
議論させていただきました。

さすがにアンパンマンのマーチを題材に取り上げる人は
私くらいだろうと思いましたが(笑)題材に取り上げる楽曲に制限がないことは
私のような、クラシックもポップスも同じく学びたいと思う人にとっては
本当にありがたい限りです。

私が音楽理論のレッスンでいただいている課題は

①題材は自由。ジャンル不問。
②間違っていてもよいので、とにかく自分でメロ譜とコードを採譜する
③レッスンの前日までには譜面を先生に送ること

これだけです。
ですが、学生時代に受けていたレッスンと1番大きく異なると感じる部分は
100%準備が出来た状態になってからでないと、レッスンに行かない
と言うことでしょうか。
どうしても、週1、月2回などの定期的なレッスンでは
その時の状態によって課題の消化が出来ていない状態で
レッスンを受けざるを得ないこともありますが、
今、私が通っているレッスンが不定期である理由は
日時を固定して、消化不良の講義をいただくものではないため、と言えます。

ですので、1回のレッスンを受けるにあたり

1 題材曲の選定
2 採譜、アナライズ作業
3 アナライズ結果、私自身の出した仮説のまとめ
4 質問事項のまとめ
5 参考資料の収集

ざっくりですが、この辺りのことをまとめて、目処が立ってきたころに
次回レッスンの希望日程についてのご連絡をしています。
自分で言うのもなんですが、結構時間も労力もかかる作業です。
ただ、毎回そうして準備をして受けたレッスンから得られるものは
かけた労力の何倍も価値のあることばかりで、
実際、この数年間の間でも音楽の知見を独学ではなく有識者から
学ぶようになったことで、音楽に対する見方は変わったと思いますし、
そうして学んだことも、出来る範囲でColumnにも反映させるようにしています。

アナライズをするにあたり、だいたい
ある程度事前に自分の感覚的なものも含めて仮説(予測)を立てるのですが
予想の通りになったこともあれば、違う結果になることもあります。
大切なことは、自分がその曲を好きと思った理由を、なんとなくで終わらせないこと
と言うことで、物事には必ず理由があり、その理由を知ることに意義があるそうです。

次の記事から、こうして私が楽曲の分析をしていく中で見えてきた
楽曲とヒットの関連性について、触れて行きたいと思います。

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楽曲がヒットする理由について②