コンサート業界について④

皆様こんばんは!Producing office SOLEIL杉山薫です。
コンサート業界についてのお話も、いよいよまとめです。
まとめは、本当に良いコンサートとはどう言うものなのか、
についてお話をしたいと思います。

過去の記事はこちら
コンサート業界について①
コンサート業界について②
コンサート業界について③

 

チケットに記載されている「名義」について

コンサートのチケットを購入しますと、公演タイトルや会場、開場開演時刻、
チケット代金の他に、主催、企画制作、後援、、、と言う表記と、
それに該当する会社名が書かれていますよね。
これらが「名義」と呼ばれるもので、コンサートを運営していく上ではとても大切なものです。
お客さんにとっては主催がどこだから、後援がどこの会社だから、
と言う理由でコンサートに行くかどうかを決める人は少ないと思いますが、
コンサートを運営する上では、名義と言うものは非常に重要な項目です。
図5を見てみましょう。

 

図5

 

名義に記載されている=資本を提供している会社

コンサートに限った話ではありませんが、何か商品を販売する際、
商品が売れた場合には利益が出ますが、売れなかった場合は損失が発生します。
今は昔と違い、東京ドームクラスのコンサートでさえも、
やれば完売出来ると言う時代ではありませんので、
当然チケットが売れなければ誰かが赤字を背負わなければいけません。
コンサートに関わるスタッフの中でも、
実際の利益に関わらず一定の報酬をもらえる人(従業員)と、
利益の額に応じて得られる収入が変わる人(雇用主)がいます。
大まかな線引をするなら、前者は制作現場スタッフ、後者は運営スタッフです。
チケットの券面に記載されている企業は、こうしたコンサートを行うにあたり、
コンサートが成功するためにいわば出資をしている企業になります。

券面に名義を記載する理由は、万が一何かあった時に、
お客さんに対しての責任を示すためではないかと、私見ですがそう思います。

 

 

全てのセクションが団結し最善のパフォーマンスを魅せるそれがプロのコンサート

 

聴衆は金額の大小に関わらず、チケットを購入して公演を観に来るのですから
上記は当たり前なのですが、私が指摘をするのは表面的な団結ではなく、
心の底から団結出来るか否か、ひとつのチームになれているか、と言うことです。
良いコンサートは、関わるスタッフもそのアーティストに惚れ込んでいることが多く、
セクション関係なくスタッフ同士も仲が良く、
“絶対にお客さんを感動させるぞ!”と言う意気込みが現場の空気に表れています。
以前私は、とあるアーティストのコンサート現場で、
スタッフの方から教えていただいた言葉があります。

 

創り手側が感動出来ない公演を、お客さんが感動する訳が無い。

 

「公演」と言う言葉を、皆さんがされているお仕事の商品に
当てはめていただければ分かりやすいのではないでしょうか。
前回の喩えで書いた工務店で言うなら、
手を抜いて作った家が住みやすい訳が無いですし、ケーキ屋さんでも同じでしょう。
また、スタッフにどこまで自らの音楽を理解してもらえて、
良い公演を作るために力を貸してもらえるかはアーティスト自身の人柄やカリスマ性であり、
アーティスト次第なのです。

 

これからのコンサート業界について

 

4回に渡り、コンサート業界について書いてきましたが、締めくくりとして、
これからのコンサート業界についての見解を書きます。

音楽業界自体が右肩下がりと言われている昨今ですが、
コンサート業界はその中ではまだ可能性があるジャンルと言われています。
その理由は、CDは買わなくなっても、
アーティストの演奏を生で聴きたいと言うニーズが無くなっている訳ではないからです。
そうした状況からどんなことが起きているのでしょうか。

これまでは外注して当然だったコンサート制作業務を、
プロダクション、レーベルは自社の中で子会社を作り、
外注でかかる費用を少しでも抑えようと言う動きになっています。
そして、コンサートに関係する会社で
大手レーベルに匹敵している資本を持っている会社はほぼ無いに等しいため、
レーベルがコンサート制作会社を傘下に入れることも増えてくることでしょう。

コンサート業界から見たクライアントであるプロダクションが
少しでも手数料がかからない形でコンサートを行おうとしている中、
既存のコンサート業界関係各社は
「手数料がかかったとしても外注した方が良いとクライアントに思ってもらえる何か」を
これまでとは違った次元で見出すことが求められます。
プロダクションやレーベルがどんなに腕のいい担当者を引き抜いて
新規部署や子会社を作ったとしても、
各社が長年かけて作り上げたノウハウは簡単に真似出来るものではありません。
コンサート制作も、各社の色があり、同じ会場でコンサートやイベントを行っても、
アーティストの違いと言った次元ではなく、全く別のものになるのです。
自社の強みを理解し、リピーターの聴衆を1人でも多く作れる企業が、
この先も残って行けるのではないかと思います。

 

いかがでしたでしょうか?

音楽業界は非常に特殊な世界なため、
その世界を経験していない人には分かりづらい部分もあるかもしれませんが、
一般の仕事と通ずる部分も多々あります。

1人でも多くの方が音楽を好きになってくれて、
コンサートに足を運びたいと思っていただけるよう、
私も尽力して参りますので、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。

それでは、次回のコラムはパソコンスキル、ビジネスマナーに関することを
書きますので、こちらも楽しみにしていてください!
またここでお会いしましょう!!

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