コロナ後、今後10年の音楽業界動向について③

皆様こんばんは、Producing office SOLEIL杉山薫です。
音楽業界の今後についてのColumn、まとめをしていきますが、
その前に、先日美容院に行った時のことを書きます。

前回までのColumnはこちら
コロナ後、今後10年の音楽業界動向について①
コロナ後、今後10年の音楽業界動向について②

 

その美容院は個室のような感じになっていて
BGMも客が好きなものをかけてよいということで、Spotifyを体験しました。
ストリーミングサービスは、音楽1曲あたりに対価をつける訳ではないので
どうしても量り売り感から避けてきたのですが
使ってみるととても便利なものでした。

こうしたサービスはどうしても若者向けのイメージが強いですが

・昭和のヒットソング
・平成を駆け抜ける

と言った特定の世代が好みそうなプレイリストや
はたまた落語まであってびっくりしました。
意外と、懐メロ以外聴きたくないと言う層にヒットするのではないでしょうか。

私自身は、最新のヒットチャートを知ったり、
仕事の勉強で聴いてみようかなと思っていた曲の試聴には
とても便利だと分かったので、後日SpotifyではありませんがAppleMusicに
登録してみました。
数日ですがサービスを使ってみて、
私がすでに使っているアプリですとヤフーニュースに近いと感じています。

ヤフーニュースも毎日色んなニュースが掲載されていて
一見、情報収集が速くなるような感じがするのですが、
結局は発信側がピックアップした情報の中から
自分で興味あるニュースの選別をしています。
また、偏らないよう、Googleのニュースなども見るようにはしていますが、
ヤフーニュースに載っていないニュースを得る確率が下がるのも否めません。
それなりの数あるニュースの中から
自分が興味あるものを選んで記事を見ているため、
なんとなく自分は精一杯情報収集をしていると、満たされてしまうのです。

AppleMusicもたくさんのチャンネルがあって
ヒットチャート以外でも世界中の音楽に触れるチャンスがあるのはすごいと思います。
でも、ヒットチャートのチャンネルでは、結局おなじみの顔ぶれの曲で溢れているし
もうちょっとランキングや新譜、リリース時期以外のキーワードで
曲を探す手段をこれから探してみようと思います。

もうひとつ、ストリーミングサービスを使ってみると
気軽に聴ける反面、実際に曲を購入するまでのハードルと
曲を最後まで聴いてもらうハードルは確実に上がります。

パッケージされたCDアルバムだと、好みに合わなかった曲があって
次にスキップしてもそれは同じアーティストの曲ですが、
ストリーミングはボタンひとつで、他の、他ジャンルのアーティストの曲へ
飛べてしまいます。
最近はフェードアウトの曲が少ないのも、シャッフルされて聴かれることが
前提になっているためと言うことですが
少し前の時代なら、AメロBメロが大してよくなくても
サビがよければ、、、と言うことも通用しましたが
今は飽きられたらすぐに他のチャンネルにスキップされてしまうので
そう言う意味では、楽曲制作においてはよりシビアになったと
言えるかもしれません。

こう言う見解を書くのは私自身辛いのですが、
ここまで書いてきた中での私の結論を述べます。

以前のように誰もが流行りの音楽を耳にするような時代は終わって、
音楽は好きな人が聴く趣味嗜好のひとつになるでしょう。

残念ながら、今ある他のエンタテインメントと比較して
音楽が差別化されるような要素が見当たらないのです。
音楽の強みである、目を使わず、手を動かさないので
他の作業をしながら聴けると言う点では他との差別化にはなりますが、
それは単なるBGMと言う扱いであって、感動とは別の話です。
最近テレワーク、在宅勤務でラジオが再注目されているそうですが
そうやって音楽を聴きながら何かをした中でふと良い曲と出会ったり、
そこから感動を見つける人もゼロではないにしろ、確率から言うと
微々たるものです。テレワークもコロナ終息後ゼロにはならないものの、
今ほど比率でのテレワークはコロナによる一時的なもので、
落ち着いたらまた社内勤務が、少なくとも日本は戻るでしょう。
(個人的には極力テレワーク推奨派ですが)

ただ、それはどちらかと言うと音楽の本来の姿に戻ると言った方が
解釈としては正しいのかもしれません。
元々音楽家はスポンサーがあってこそ収入が得られていたのに
音楽バブルでファンやスポンサーへのサービスを行わなくても
飛ぶように音楽が売れる、と言う、その方が長い歴史からしたら
特異なものだったのです。

音楽をやってもスポンサーへの営業活動が大変、
努力の割には儲からない、となるとそもそも音楽を目指す人自体が減りますが
それは、不純な動機や単なる名声、富を得たい「だけ」の人が
脚光を浴びるツールとして音楽を選択する比率が減るとも言えます。
また、制作側も以前のような殿様商売は出来ない
(今でも十分バブル期のようなことは出来ていませんが、更に)
となると、商品を買ってくれる顧客を大事にするようになるかもしれません。
と言うか、そうであってほしいと言う願いです。

 

業界全体の規模は縮小するが、それは衰退ではなく淘汰

ストリーミングの話に戻りますが、
いわゆるランキングトップ○○、だとどうしても「いつものメンバー」
の曲ばかりなので、次世代アーティスト特集 のようなチャンネルも
聴くようにしているのですが、すでに前回の記事で書いた、
英才教育型であろうアーティストの曲もちらほら耳にします。

バブルのせいだけではないと思いますが、
「ミュージシャンで成功すれば地位、名誉、富を得られる」
と言う価値観が植え付けられてしまったが故に
仕事の本来の目的である社会貢献をしたいと言う人よりも
名誉がほしい、富を得たい、と言う
社会的な成功をすることが第1目的で、その手段は何も音楽でなくてもよい人達
が音楽の世界に参入しすぎた
結果が、今の音楽業界なのかもしれません。

それは何もアーティストに限らず、裏方も同じですが
音楽を仕事にしても大して儲からないと分かれば
少なくともお金目的の人が音楽を選ぶ確率は減り、本当に音楽を愛する人だけが
生き残れる業界へと変わり、それは衰退ではなく、むしろ不必要な人、物の淘汰と
言えるのではないでしょうか。
勿論それは、今すぐ2年後、3年後に変わるものではありません。
10年、20年と時を経た中で少しずつ変わっていくことでしょう。

 

いかがでしたでしょうか?
何か少しでもご参考にいただけましたら幸いです。

それでは、また次回のColumnでお会いしましょう!