SNS使用時にタレントが持つべき知識⑤

こんばんは。Producing office SOLEIL杉山薫です。
昨年後半ウェブサイトのColumnを更新することが出来ず、年が明けてしまいました。
そうこうしている間にも、SNSをめぐるニュースは後が耐えず
漫画のドラマ化を巡って、原作者の方が悲しい選択をする、事件が起きてしまいました。

「セクシー田中さん」の漫画家・芦原妃名子さん死去 日テレが哀悼の意 94年デビュー、少女漫画多数

前回の記事はこちら
SNS使用時にタレントが持つべき知識④

 

現代でも『沈黙の春』は起きているのではないか

「沈黙の春」で科学物質管理の大切さを訴えた科学者レイチェル・カーソン

意外に知らない…人類をもっとも多く殺戮した「感染症」とは?

1950年代に使われたDDTと、『沈黙の春』の筆者レイチェル・カーソンについて
書かれた記事を2つご紹介します。
私が彼女のことを知ったのは、少し前に『映像の世紀バタフライエフェクト』で
環境破壊がテーマだった回を見た際に出てきたことがきっかけです。
番組の中で、当時1950年代に、DDTという農薬が害虫を駆除するのに有効だと言うことで
あちこちで撒かれるようになったが、この農薬は害虫だけでなく虫を食べた小鳥達も殺してしまい
このまま使い続けると人体への影響はおろか、地球が大変なことになってしまうと、
著書『沈黙の春』の中で訴え、当初ビジネス的な面から反対する勢力もあったものの
彼女の主張が正しかったことが証明され、規制がかかるようになり、
現在は一部の特殊な条件を除いて使用が禁止されることになった、と言うものでした。

私はこれを見た時に、
自分はこの時代に生まれていなかったから危険な農薬を体内に取り込まなくてよかった
と率直に思ってしまったのですが、しかし、ふと周りを見ると

 

メリットがあることは分かったものの、どの程度リスクがあるのかが分からないまま
「便利だから」と言う理由で、検証不十分のまま使い続けているものは、今もあるのではないか。
と思いました。

 

そう、まさにそれがSNS、スマートフォンです。

麻薬や覚醒剤の中毒になると、幻覚が見えてしまったり、攻撃的な性格になると言いますが
恋人や友人にLINEを送ったあと、既読がつくまでたった数分さえも待てない、
1日既読がつかないと、自分は嫌われたのではないか、恋人が浮気をしているのではないかと
勝手な妄想により、どんどんよくないことばかり考えて、喧嘩の原因になってしまったり。
こうしたことも、ある種の依存症による幻覚症状と言えるのではないでしょうか。

また、SNSに関してはそれが原因で癌などの病気になる訳ではないものの、
心を蝕んで行きます。私自身も、心の健康状態と言うのが肉体的な健康状態と同じくらい
大切なものだと言うことを、最近でも改めて実感しました。
麻薬、覚醒剤の中毒の場合は隔離施設があり、物理的に薬を使えない状態にして
症状を抜くと言う治療法がありますが、SNSやスマートフォンについては
現時点で専用の隔離施設もなければ、SNSとスマートフォンを取り上げるべきと
判断する、明確な基準もありません。
そのため、負のループに陥ってしまった時、自分だけの殻に閉じこもってしまいがちです。

 

一定の限度を超えたらSNSとの距離を置くよう促す、アラート機能

今回のColumnの3回めの記事でも、定期的にSNSとの付き合い方についての研修を受ける案を
書きましたが、有料の研修になると金銭的な事情で受講出来ない人が出てきます。
そのため、クレジットカードの使い過ぎ防止機能のように
一定の限度を超えたらスマートフォンの通知を出し、SNSを正しく使えているかの
アンケート(実質的な研修)画面に遷移して、ふと我に返る時間を作るよう
スマートフォンやSNSが利用者に対して警告を発することが、
対策になるのではないでしょうか。

最近はあまり目にしないですが、一時期Facebookにアクセスする頻度が減っていた時に
「あなたがログインしていない間にこれだけの更新がありました」 と言う通知が来ていました。
これは、利用頻度の減ったユーザーにログインを促す(サービスを使わせる)ための案内ですが
その逆

「SNS見すぎていませんか?」

と言う警告を出してあげる。
日頃の平均アクセス数からはかけ離れたアクセスが発生した場合、

「炎上していませんか?1人でログインせずに、信頼出来る人と一緒にログインしましょう」

と言ったポップアップを出す。

SNSはよくも悪くも「個人のスペース」であるため、リアルで近くにいる人も
本人がSNSでのやり取りに困っていることに気づきにくく、
適切なタイミングで誰かが注意喚起を促してあげることが必要です。
そうしたオプションサービスが有料で提供されれば、炎上するリスクがある著名人でなくとも
加入してSNSによるトラブルを防ぎたいと考える人も一定数いるのではないでしょうか。

 

SNSやスマホを排除するのではなく、共存するための模索を

農薬や公害になってしまったものは、使用自体が規制されて現在は使われなくなったものも
ありましたが、では、SNSやスマートフォンが、人間の心に悪影響を与えるリスクが
あるから、その使用自体を規制する、使えなくする、と言うことは
現実的には難しいのでは、と思います。
私も、SNSがきっかけで出会ったカモ友さん達との会話は楽しいですし
SNSがあってよかったなと思うこともたくさんあります。
また、災害が起きた時にSOSを出して自治体が救助に当たれた事案もありますし、
リスクだけでなくメリットもある、と言うのが一層SNSに対しての規制、ルール選定を
難しくしているところでもあります。

いずれにしてもSNSに限らず、こうした不特定多数の人が見られる媒体に
意見を書き込む時には

①発言の根拠となる裏付けを取ってから投稿する
②会ったことも、話したこともない相手に対し、最低限のマナーを守れているか
今一度確認する

これらのことに気をつけて、不幸な事故を1つでも減らして
インターネット社会のメリットを1つでも多く生かせるようにしていく必要があります。
それには私達1人1人の意識改革が必要です。
私も、感情的にならず、情報を発信する時は細心の注意を払って発信するよう
引き続き努めて参ります。

それでは、また次のColumnの題材が決まったら更新します。
皆様も健康に気をつけてお過ごしください。
またここでお会いしましょう。