女性はハラスメントとどう向き合うべきか-後編

皆様こんにちは!Producing office SOLEIL杉山薫です。
前回の記事を書いてから、そんなに日を開けずに後半のColumnを書く予定が
気づけば今日で今年も終わりです。
今年は私にとって、とても密度の濃い1年間となりました。
なんと言っても1番は引っ越しして活動拠点が変わったことですが
様々なところで交通の利便性の恩恵をいただき、
一大決心でしたが引っ越しをして本当に良かったと思っています。

さて、2021年も残すところあとわずかですが
なんとか滑り込みセーフで、ハラスメントのColumn後編に行きたいと思います。

前回のColumnはこちら
女性はハラスメントとどう向き合うべきか-前編

 

「ハラスメント通報」は諸刃の剣、安易に使うと返り討ちに

世の中にあるハラスメント講習の大半は、男性ないし管理職(指導者側)に対する
注意喚起を促すもので、部下(平社員、派遣等)がハラスメントをそもそも起こさない
ために取るべき行動について諭しているマニュアルはほとんどありません。
私はこれまで大手から中小まで様々な規模の企業のハラスメント対策を見てきましたが
大手になればなるほど、マスコミのネタになりやすいこともあってか
ひたすら指導者側に規制をかけるケースを多く見かけます。

具体的には、
①指導をする時は、個室でドアを締め切った状態で男女2人になってはいけない
②部下を呼ぶ時は「名字+さん」で、名字+ちゃん付けはNG
③本人が嫌がっているのに執拗に業務外で食事に誘ってはいけない

などです。
②と③は被害者側となる立場の人がどう受け取っているかや
状況を見ている周囲の人が不快に感じているか否かも、判断基準となります。
また、①については状況次第では問題が発生したその場で注意をしないと
いけない場合もあり、上司の判断が問われることもあります。

世の中では、具体的に記載したハラスメントNG事例集や
企業が定めたマニュアルがありますが、基本的には指導を受ける側の人は
先輩や上席にあたる立場の人から物を教えてもらう訳なので
へりくだるべき立場がどちらであるかは、言うまでもありません。

にも関わらず仕事をしながら物を教えてもらっている、
客先から使われている立場であることを忘れ、重箱の隅をつつくかのごとく
元々気に入らないと思っている人が上記①~③のいずれかに少しでも該当次第
ハラスメントだと言ったら、どうなるでしょうか。

大手であれば最近は大抵各種ハラスメントについての通報窓口を設けていますが
気をつけなければいけないのは、ハラスメント通報をしたからと言って
必ずしも通報者側の訴えが通る訳ではないと言うことです。

通報した際には、担当者はあなたの言い分をひと通り聞いてくれますが
当然、あなたの主張だけを鵜呑みにする訳ではありません。
被害者、加害者双方から話を聞いた上で、
「第三者から見てもハラスメントだと該当するのならば」
加害者側に懲戒等の処分がくだされる、と言うだけで
第三者(その会社のコンプラルール)がハラスメントではないと判断した場合は
あなたの通報は却下されるだけでなく、場合によっては名誉毀損などで
逆にあなたが訴えられるリスクもあります。

また、仮にあなたの主張が通り、相手に処分が課されたて減給や退職となった場合、
相手の生活、今後の人生にも大きな影響を及ぼしかねません。
相手が既婚者で家庭があった場合、セクハラで懲戒処分を受け、退職、再就職となった場合は
最悪あなたの通報がきっかけで離婚や、再就職も難しく相手の家族が生活できなくなる
事態に発展してしまう可能性もあると言うことを、認識、理解した上で、
第三者から見てもハラスメントが明らかである証拠が複数存在し、
あなたがハラスメントをこれ以上受けることが、個人間の損得を超えて
「プロジェクトに支障をきたしているのなら」、通報と言う処置も必要かもしれません。

 

しかし、実際ハラスメント通報をする人の中には、気に入らない上司の憂さ晴らしや
証拠不十分な状態で、安易に通報窓口を使う人も多いです。
ハラスメント通報窓口は、あなたの気に入らない人を排除してくれる場所ではありません。

自分より上の立場の人に懲戒を与えると言うのは、あなたの想像以上に難しいことなのです。
「ハラスメント」と言う言葉は、決して冗談交じりで使ってよい言葉ではありません。

 

厳しい指摘に耐えることは、男女問わず同じ

少し前になりますが、男性からこんな話を聞いたことがあります。

 

「女性の上司って、男性から敬遠されるんだよね」

 

この言葉を言われた直後、私の第一印象は「なぜ?」でした。

女性の上司なら、少なくとも見た目などから男性のような威圧は出来ないし
物腰もやわらかく、働きやすいのでは?と思ったので、理由を尋ねたところ

 

彼女達は、男性でさえも出世が難しい中、男を跳ね除けて勝ち上がってきたため
男性の上司以上に仕事命で「漢」で、常にナメられたくない気持ちが先行してしまうため
必要以上に男性に対して厳しくて、逆に男性の方が参ってしまう、と。

 

この話を聞いた時、彼女達がどれほどの差別(と本人が思う事例)を経験してきたのか
かわいそうにと思ってしまいましたが、同時に、彼女達もまた
自分たちが苦しんだ男女差別を他者にしてしまっていると、私は感じました。

 

”あなた男だから、女性の私にナメた態度取るんだろう”

 

実際にこの男性の部下が、ナメた態度を取った事実があるならまだしも
仕事をする前から、このように「男だから●●」と言う態度を取ってしまうと
コミュニケーションを築けるものも、築けなくなってしまいます。

そう言う私も最近、女性と言う生き物自体が責任者には不向きなのでは、
と思うことが時々あります。職種にもよりますが、世の中で活躍している
女性のリーダー達は、当時アメリカのトランプ大統領相手に交渉をした
ドイツのメルケル首相を見ても、男とか女とか、そんな次元ではないように見えます。
国のトップであること、歴代の男性首相と同等かそれ以上の気持ちで交渉する。

先の男性以上に漢になってしまった女性の上司にしても、
性別は女性であっても、仕事をする上では女らしさを捨てないと
男女平等の評価を得るのは難しいのでは、と言う気もしています。

私が感じている女らしさと言うのは、化粧をすることや、スカートを履くことではなく
内助の功のような、相手を立てるために自分が一歩引く、柔らかい空気を作る、などの
女性が本来得意とする思考回路を殺す、と言ったらよいのでしょうか。

女性が心を男にして仕事をすることだけが良いとは思いませんが
相手から言われたことが、業務内容やあなたが出したパフォーマンスに対する指摘なのか
それとも、仕事を理由にして、業務とは関係のないこと(セクハラ)をしたり
立場を使った嫌がらせををしようとしているのか、よく見極めて
もし、相手からの指摘があなたの業務内容に対する指摘であるならば
真摯に受けとめ、改善に努める覚悟をきちんと持った上で、業務に取り組みましょう。

 

ハラスメントが起きると、あなただけでなく、加害者も不幸にします。

まずはハラスメントを起こさないよう自身で身を守ること
それでも起きてしまった場合は、まずは自分が受けているのがハラスメントなのか
業務改善における指導なのかを第三者に判断してもらうことです。
特に女性の場合、セクハラについては他人に相談しづらい部分もありますが
1人で悩みを抱えていても、事態が深刻化する可能性の方が高いため
信頼出来る人に相談をしましょう。
第三者から見てもハラスメントだと言う場合は、各社で設けているルールに従い
粛々と対応して行きましょう。

そして、あなたの周囲でセクハラやパワハラを受けている人がいたら
放置せずに、当事者が悩んでいないか気にかけていることを、責任者に報告しましょう。

女性はどうしてもハラスメントの被害者になりやすい立場ですが、
場合によっては加害者になる可能性も十分あることを踏まえて
快適に業務を行える環境を作っていくことが大切です。

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今年のColumnは以上となりますが、
皆様にとって2022年が少しでも良い年になることを、
そしてオミクロン株も心配が続きますが、一刻も早く事態が終息することを
願っております。

それでは、どうぞ良い年末年始をお過ごしください!