音楽系の学校へ行くメリットとは③

皆様こんばんは!Producing office SOLEIL杉山薫です。
音楽系の学校に行くメリットについてのColumn3回めです。
年内に果たして最後まで書き終えることが出来るでしょうか(笑)

前回の記事はこちらです
音楽系の学校へ行くメリットとは①
音楽系の学校へ行くメリットとは②

3回めのColumnではポピュラーのアーティスト志望者が選ぶべき学校について
お話をしていきますが、その前に、第2回で触れました、
各教育機関で向いている職種と、例外について補足をします。

例外はあくまで例外でしかない

前回までのお話で、音大、専門学校、一般大学でそれぞれ向いている
(各専攻のカリキュラムとリンクしている)就職先を選ぶと、
結果としてその職に就ける確率が高くなると言うことをお話しましたが、
勿論中には「例外」も存在します。

最近の例で分かりやすい事例を挙げますと、
フリーアナウンサーの加藤綾子さん、 カトパンさんの経歴です。

Wikipedia公式HPによると、彼女は国立音楽大学音楽教育学科
幼児教育専修の卒業だと言うことですが
音大卒でアナウンサーになられた人と言うのは、極めて特例です。
難関と言われるアナウンサーの採用試験で
3社からも内定をもらったと言うことは
容姿含め、アナウンサーとして成功する素質が
おありだったのだと思いますが、
私が考えるに、カトパンさんがアナウンサー試験に合格したのは
大学のカリキュラムとは別で、アナウンサースクールに通うなど、
アナウンサーになるための勉強をされたからだと言うことです。

音楽大学のカリキュラムをこなしながら、
アナウンサースクールに通うと言うのは、いわば二足のわらじです。
ましてやカトパンさんは教員免許も中高お持ちだと言うことですから、
教職課程の授業を取りながら、
専攻の授業も受けて更にアナウンサースクールに、と言うのは
在学中から人並み以上の努力をされていたと言うことでしょう。
ですから、音楽大学に行けばカトパンさんのように
アナウンサーになれるかもしれない、
と言う発想は安易で危険だと言うことを、私は皆様にお伝えします。
本当にアナウンサーになることが目標であるのなら、
アナウンサースクールに通うことは勿論のこと、
OBOGでアナウンサーを多く輩出している大学を選んだ方が無難です。

また、カトパンさんの経歴には到底及びませんが、
私が行っているプロデュースや音楽ビジネスと言うジャンルも、
本来音楽大学を出た人がすんなり就ける職ではありません。
私は大学で音楽ビジネスについて学んだ訳ではありませんが、
会社でプロデューサーと言う仕事や音楽ビジネスについて
学ぶ機会をいただいたので、プロデュース業で身を立てたい
と思うようになりました。
ですが、学校を出てから10年音楽業界の中で仕事をしてきましたが、
いわゆる裏方で、過去他大学も含めた音大卒の人を見かけたのは
たった1名のみです。

ですので、中にはその教育機関のカリキュラムを受けた人が
就きやすい職以外の仕事で成功している人は、どの学校でも
一定数いるのですが、例外と言うのはいわば未開拓の地を開拓する
パイオニアですので、相当な努力を要されます。
先例があると言うことは、後に続けるチャンスはあるものの、
最初からなりたい職業が決まっているのに、
その仕事と関連性の低い進路を選ぶと苦労する確率が高い、と言うことです。

ポピュラーのアーティストになりたい人にお勧めの学校とは?

さて、いよいよ本題ですが、アーティスト、演奏家になりたい人達は
どのような進路選択をすればよいのかについて解説をしていきます。

同じ演奏を職業とする人達であっても、その進路選択は
クラシックかポピュラーかによって大きく異なります。
クラシック音楽の演奏家になりたいと思っている人は、音楽大学へ行くことが
必須ですし、芸大や桐朋と言った国内トップの学校を出ても、
更なるキャリア作りのために留学をする人や、一般大学を卒業した後に
音楽大学へ入学する人もいます。

ですが、ポピュラーのアーティストはクラシックの演奏家とは異なり、
私が考える、ポピュラーアーティストになりたい人への
お勧めの進路と言うのは

どこの学校を選んでも同じなので、好きな進路を選んでください

と言うことです。

もう一度第1回で掲載した図を見てみましょう。

右側の図は、音大に行っても、専門学校でも、一般大学でも、
独学でも全ての人達が同じ競争の中で勝ち抜いた人だけがプロになれるため、
なれる人はなれるし、なれない人はなれません、と言うことなのです。
その中で、学士号や譜面の知識へこだわりたい人は音大へ行けばよいし
専門学校でコネクションを探したい人は専門学校へ行けばよいし、
と言うことです。1回めで書きました[ALEXANDROS]のように、
青学を卒業して音楽のプロになる人もいるのです。

そしてもうひとつ、アーティストになりたい人の進路が
どこでも構わないと私が考える理由は

ポピュラー音楽の勉強は学校へ行かなくても
やろうと思えば出来るから

です。

第2回で、クラシック音楽に関係する資料は
どうしても専門機関でないと閲覧が難しいものがあるとお伝えしましたが、
ポピュラー音楽に関する資料はそれに比べてどうでしょうか?

現在インターネットを通して、様々なアーティストの音源、経歴を
調べることが出来ますし、何よりクラシック音楽とポピュラー音楽の
1番の違いは「大半の作曲家が存命している」と言うことです。
私達にとってバッハやモーツァルトは歴史上の人物のため、
彼らが何を考えていたのか、その曲にどんな思いを込めたのかを
知るためには当時の文献を読みながら、自分で想像力を働かせるしか
ありませんが、ポピュラー音楽の作曲家は存命の方が大半ですので
作曲家本人のインタビューを読んだり、やろうと思えば
ご本人に直接質問することも出来ます。

私も、クラシック音楽については学校で勉強しましたが、
ポピュラー音楽業界史の勉強は独学です。
会社に入って、現場で何が起きているかを目と肌で感じ、
私自身が業界に入る前に起きたブームについては
インターネットから当時の状況が書かれた文献を探して読み、
それでも足りなかったことは、実際に当時現場に居た方から
お話を伺い、学びました。

そのようにして、やろうと思えば独学でも出来なくはないことを
敢えて授業料を払って学校に行くと言うのは

音楽をする上で「恵まれすぎるくらいの環境」に行く選択をする

と言うことではないでしょうか。

学校には最新設備のスタジオや、MV撮影の環境が揃った学校もあります。
1人で勉強していれば挫折してしまうところも、
励まし、支えてくれる先生方もいれば、仲間の学生たちもいます。
中には学生時代に出会った縁でバンドを組んだり、
会社を作ったりする人もいます。

音楽系の学校と言うところは、やろうと思えば独学でも出来なくはないことを
サポートしてくれるたくさんの恵まれた環境が揃っている所なのですから
それを生かして進路につなげようと言う強い決意があれば
必ずプロへの道を作れる環境
です。ですからあとはそれを
生かすも殺すもあなた次第、と言うことです。

次の記事では音大生の就職活動について触れて行きます。


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