マネジメントのスキルが身につく方法とは

皆様こんばんは。Producing office SOLEIL杉山薫です。
3月に入って気温もだいぶ暖かくなってきました。
1月2月はウォーキングも寒くて大変でしたが、ここ数日は
だいぶ暖かくなってきて、動きやすくなりました。

ところで、これを書いている今は3月なのでWBC大盛り上がりですが
昨年末のサッカーワールドカップを見て、クロアチアチームの精神力の強さに
興味を持ち、キャプテン、モドリッチ選手の自伝を読み続けていました。

ボリュームが本当に半端なかったので、後半は家で読むよりも
出先で待ち時間が出来た時に読んだのもあり、時間がかかってしまいましたが
先日やっと読み終えたので、簡単にですが感想を書きたいと思います。

書籍の情報はこちらです(私はKindle版で読みました)
ルカ・モドリッチ自伝 マイゲーム Kindle版

 

成功するために必要な全てのことが書かれている本

自伝なので、読む前の時点で最低限モドリッチ選手の人柄、キャリアに
興味関心はある方が読みやすいものの、私はこの本はサッカーが好きな人は勿論

 

・組織を上手くまとめられずに悩んでいる人
・マネジメントのスキルを身に付けたい人
・スターになりたいと思っている人

これらの人にぜひ読んでもらいたいと思っています。

 

理由は、『マイゲーム』は世界的なスーパースターになったモドリッチ選手の自伝、
つまり生い立ちから、どうやってプロのサッカー選手になって
さらに厳しい競争を勝ち抜きキャリアアップしてレアル・マドリードと契約をするに至り、
ロシアワールドカップで準優勝をするまでの過程が書かれている訳であって
モドリッチ選手が日頃行っているトレーニングのメニューや、サッカーボールの蹴り方など
サッカーのテクニカルな解説書ではないからです。

 

これが、1日何時間トレーニングをして、トレーニングの内訳はランニングが何分で
そのあと何分筋トレして、筋トレに使う器具はこう言うもので。。。のようなことが
中心に書いてあるのなら、それはサッカーのテクニックを向上させたい人の助けになりますが
本に書かれているのは、フィジカルよりもキャリアアップをするに必要なメンタル的なことです。

そしてモドリッチ選手の場合、奥様が実質マネージャーですが
芸能タレントで言うところの、幼少期から大手芸能事務所に入って”事務所に売ってもらって”
と言う訳ではなく、基本的に営業は今でもご自身でされていること。
つまり、要所要所でキーマンとなるプロデューサーはいたとしても、
「幼少期から30代まで全てセルフプロデュースでキャリアを作ってきた手腕、ノウハウが
書籍の中に凝縮して書かれている」
からなんです。

 

訳が非常に素晴らしい。日本人が理解出来る表現で意訳してくれている。

翻訳者の長束恭行さんは、単にクロアチア語の通訳が出来ると言う訳ではなく
サッカーのジャーナリストでもあられて、プロフィールでは過去にスポーツライターの
優秀賞も受賞されているとありました。

 

議事録とキャリアアップの関係性について②

以前書いたこちらのcolumnで、議事録作成は自身の内容理解度も問われると言うことを
少し触れましたが、読み手が適切に理解出来る形で伝えるライティングスキルがあるかないかで
品質は全く別の物になってしまいます。今回私が本を読んでいて、
「日本人が理解しやすい表現に意訳してくださっている」と感じる箇所がありました。

例えば、「ちゃぶ台返し」と言う表現。普通に考えてクロアチアに日本のちゃぶ台が
あるとは思えません。
向こうでもそういった諺があって、クロアチア語の辞書を引くと「ちゃぶ台返し」
と出てくる言葉が書かれていたのかもしれませんが、おそらくそうではなく、
前後の状況などを踏まえて、日本人に1番伝わる表現としてちゃぶ台返し
という言葉になったのだろうと思います。
クロアチア語の知識と、サッカーの知識と、そして実際にモドリッチ選手とも接したことがある
長束恭行さんだからこその表現だろうなと思った箇所がいくつかありました。
登場人物は案の定○○ッチばかりで全然覚えられませんでしたが、
それは固有名詞なので仕方ありません。

 

長く成功するために必要な力、それは「先読み力」

以前書いた なぜマネジメントは必要なのか ② の中で、
プロデビューに必要な素質を5つ挙げました。

・演奏力
・協調性
・謙虚さ
・積極性
・柔軟性

演奏技術はサッカーで言うところのテクニカルな部分ですよね。ボールを蹴る精度、
走る速さであったり、音楽よりもプロスポーツの方が、フィジカルな能力が左右する部分が
大きいかもしれません。今回モドリッチ選手が私達に教えてくれたのは、デビューしたあと
更に厳しい競争に勝ち抜くだけでなく、「長く第一線で活躍するために必要なこと」は何かです。
いくつかありますが、私は「先を読む力」であると考えています。

『マイゲーム』を読んでも、モドリッチ選手が、長期的な目標と短期的な目標の両方を見据えて
日々過ごしてきたことが読み取れますし、10代と20代、30代では経験が蓄積される一方
体力面での変化は避けられない中、どうやって年代と時代に合った形で適合していくか。
アーティストも同じで、40代50代になっても20代と同じ魅せ方、売り方は出来ないことと
ある日突然ガラっと変えることも出来ないので、少しずつ、先を見ながら、
第一線で居続けるために必要なことを積み重ねていきます。

 

マネジメントスキルが身につくカリキュラムは無いが、
チャンスは日常の至るところにある

私も音楽芸能から、販売職、IT、美容関係など様々な仕事をしている人を見ますが
それぞれの専門領域のスキルの高さとマネジメント力の高さは、必ずしも一致しないことを
ここ数年で確信しました。私はマネジメントを専門にしたいと思い、勉強もしましたが
販売でも、ITでも、マネジメント、チームをまとめる能力に長けている人はいて
そう言う人に話を聞くと、だいたい「新卒のころに良い上司と出会っている」ことが
分かってきました。

モドリッチ選手がマネジメント上手なことに関しては、ご両親に本当に愛されて大切に育った。
これが大きいように見えます。1番身近で手本となる人から自然と、仲間を思いやる心や
困難を解決する方法を見ただけでなく、人生の至るところで出会った人たちのよいところ、
模範となるところを積極的に吸収していけたことが読み取れます。

 

マネジメントに関する理論を書いた本も世の中にはたくさんありますが、資格試験のように
試験問題の正答率何割取れれば合格と言うものでもありません。敢えて言うなら

 

日常の至るところでアンテナを張っておくこと

 

だと思います。それはコンビニで買い物をした時かもしれないし
仕事で接したクライアントかもしれません。そうした日常の中でひとつでも多くの
組織論を学べた人が、結果的にマネジメント上手になっていると感じます。

そう言う私も、独学でマネジメントの勉強はしていますが、
スクール、セミナーに通っている訳ではありません。
強いて言うなら、サクセスストーリー、ドキュメンタリーは好きなので、
そう言うものを見て
何をしたからこの人が結果を残せたのか学ぶことは意識しています。

モドリッチ選手は出会った人からサッカーに対する考え方、
チームメイトの説得の仕方など、
その人の短所ではなく長所をたくさん見つけて、積極的に自身に取り入れてきたこと。
そして負けた試合の反省点をしっかりと生かす、これが強さの秘訣なのだろうと、
私は感じました。

昨年のワールドカップ、日本対クロアチアも最後PK戦になって、
それまではPKは運もある、と考えていましたが、それは間違いだったと気づきました。
準々決勝のブラジル戦もそうでしたが、あの状況で落ち着いて決められる
と言うのは、きっと過去にPKで悔しい思いをしているのだろうと。そして蹴る技術だけでなく
平常心でいられる心の強さ、集中力。
PKを失敗してしまった仲間だけでなく、敗れた相手を気遣う心を見ると
本当に模範的なリーダーだなと、サッカーをやったことのない私でさえも分かります。

 

たとえ途中までしか読めなかったとしても、読む価値はある、そんな本。

話を本に戻しまして、私もKindle版を購入する前に、AmazonのレビューやTwitterで
どんな感じか、多少の下調べをしました。
その時点でも、ボリュームがすごいと言う評価があったので
一応覚悟はした上で、それでも自分が注目したアスリートの本なので、
サクサク読めるだろうと思って読み始めました。
にも関わらず、3ヶ月もかかってしまいました。本当に読み終わることに注力すれば
もっと早く読み終えられましたが、とにかくボリュームはすごいです。
でも、書籍版だと502ページの大ボリュームでも、そこに無駄はありません。

『マイゲーム』を読む前に、ゼレンスキー大統領のドラマ『国民の僕』 をNetflixで見た時も
そのボリュームに驚いたのですが
(『国民の僕』から学べることもそのうちColumnで書きたいなと思っています)
今回紙ではなく電子、Kindle版で買ったこともあり、
パソコンやタブレットを立ち上げて読むことのハードルの高さも実感しました。
ですが、一度購入すれば、時間がかかっても最後まで読むことが出来ますし
私が3ヶ月かかったけど『マイゲーム』を最後まで読めて、こうしてColumnに書きたいと思った
モドリッチ選手からの本当に深い一言が(内容は2つありますが)、
本を最後まで読み終えたタイミングに書かれているからこそ、突き刺さる言葉が書いてあるので、
それはぜひ本を読んで、その言葉にたどり着いてほしいし
その言葉にたどり着けたころには、本を読んだ人はたくさんのことを学べているはずですので
ぜひ、読んでみてください。

それでは、またここでお会いしましょう!